2023年10月18日更新
糖尿病とは読んで字のごとし、尿の中に糖が出る病気として命名されました。しかし、尿中に糖が出るだけでは、糖尿病と診断できません。
糖尿病は、さまざまな原因により血糖値(血液中に含まれているブドウ糖濃度)が高くなります。少しでも下げようと腎臓から尿中へブドウ糖を排泄するため、尿に糖が出ます。従って、血液検査で血糖値が高いことが証明されて、初めて糖尿病と診断されます。
血糖値が高くなる疾患なので、「高血糖症」や「高血糖病」と呼ぶべき疾患なのですが、歴史的に糖尿病と呼ばれています。
糖尿病は大雑把に分類すると、1型糖尿病と2型糖尿病に分かれています。
何らかの原因によりインスリンの産生機能が破壊され、全くインスリンが作られなくなる。
そのため、非常に高い血糖値を示す。糖尿病全体の5~10%。
●小児に多い
※インスリン・・・膵臓で産生される血糖を下げるホルモン。
遺伝、加齢、生活習慣の乱れ、ストレスなどが原因でインスリンの産生が低下、または、効きが悪くなり血糖値が高くなる。
●成人に多い
喉が乾く
水をよく飲む
尿の量が多い
疲れやすい、だるい
※初期には、これらの自覚症状がほとんどありません
多くの患者さんは、健診で糖尿病あるいは糖尿病の疑いといわれても、自覚症状がない場合なかなか受診されません。
症状が更に悪化すると、食欲があるにもかかわらず体重が減少し、「これはおかしい」と慌てて受診されるのですが、その時には糖尿病はかなり進行しています。早期治療をおこないましょう。
合併症として、腎臓、眼、神経、心臓(狭心症・心筋梗塞)、脳(脳梗塞・脳出血)、足病変などがあります。
その他にも、認知症、肺炎、歯周病、胆石・胆のう炎、尿路感染症(腎盂腎炎や膀胱炎)、脂肪肝、骨粗鬆症、一部のがんになりやすくなるのも糖尿病の困った特徴です。
また、2型糖尿病では、高血圧症や脂質異常症(悪玉コレステロール高値や中性脂肪高値)の併発がよく見られ、動脈硬化がより進行します。
これらの怖い合併症を極力併発しないよう、また併発しても軽症で済むよう、治療をきちんとしましょう。治療をすれば、合併症は怖くありません。
外来診察では、血糖値と過去1~2か月間の血糖状態を示すHbA1c(グリコヘモグロビン)で判断します。
普段は好きに食べて「そろそろ病院に行く日が迫ってきた」と、2日間だけお菓子を控えたとしても、受診日の血糖値は良いかもしれませんが、HbA1cの数値が悪いという結果がでます。
糖尿病になってもさまざまな合併症を起こさない、起きても軽症で済むようにし、健康寿命を全うしていただくのが糖尿病の最終目標です。そのためには、血糖の改善だけでは不十分で、体重、コレステロ-ル、中性脂肪、血圧のコントロールも重要です。
2型糖尿病の方は、生活習慣の改善が最も重要ですが、持続し続けるのは難しいと思います。あれもダメ、これもダメと制限が多いと思われがちですが、「いやじゃ、いやじゃ」といわず考え方を変えてみましょう。食事制限を「足るを知る」、運動療法を「季節の移ろいを五感で感じながら歩ける喜び」と考えると治療・予防が継続しやすくなります。