診察について

がん治療

サイバーナイフセンター

当院では2000年7月より日本で3番目にサイバーナイフを導入し、頭蓋内・頭頸部病変を中心に延べ5000例近く定位放射線治療をおこなってきました。

2018年3月にはサイバーナイフM6システムに更新いたしました。以前の機種に比べ治療時間が大幅に短くなり、より患者さんにとって負担の少ない治療が可能となりました。

2022年10月1日~三叉神経痛治療が保険適用となりました。
2022年12月~前立腺がんの治療を開始しました。

サイバーナイフとは

サイバーナイフは、ロボットアームに小型の放射線発生装置を搭載した放射線治療装置です。ミリ単位以下で正確に動き、細く弱いX線を多方向から患部のみに集約することで、周りの正常な部分への影響を抑えて効果的に治療します。
サイバーナイフではイメージガイドシステムを搭載しX線写真やLEDマーカーから腫瘍位置を同定します。治療中の微細な体動による腫瘍の位置ずれを認識し正しい位置に放射線を照射します。
サイバーナイフでは、頭頸部領域の動かない部位の治療だけでなく肺、肝臓といった呼吸性移動を有する腫瘍に対しても治療することが可能です。

サイバーナイフ治療のメリット

切らずに治療できる
放射線を用いて治療をおこなうため、治療中は何も感じることはありません。 そのため、麻酔も必要ありません。 身体に負担が少なく、高齢者の方でも無理なく治療を受けていただくことができます。 また、外科手術では困難な脳の深い部分や脳内の重要な機能をつかさどる部位の病変であっても放射線を用いることにより機能を温存したまま治療することができます。
身体への負担を軽減
1回の治療時間は20分~30分で、多くの治療が1回から数回で完了します。 通常、入院で治療をおこないますが、医師の判断により外来で治療をおこなうことも可能です。 患者さん、一人ひとりのニーズにあった治療スタイルを提案いたします。

サイバーナイフ治療プロセス

患者さんの治療部位により期間は異なります。短くて1~2日、1週間程度期間をいただく場合もございます。
治療に関しましては入院もしくは通院など、患者さんの希望に添える形でおこないます。

診察

ご持参いただいた診療情報提供書や画像データを元に医師が適応の判断をいたします。診察の際は、症状や現在使用しているお薬、認知機能についてお聞きします。当院でのサイバーナイフでは麻酔は使用いたしません。治療中、患者さんご自身で体動を抑えることが困難な場合、医療安全の観点から治療をお断りせざるを得ない場合がございます。診察時、医師が判断いたしますのでご了承ください。

固定具の作成&画像検査

患者さんの治療中の動きを最小限に抑えるため、また複数回における治療の場合、毎回同じ体勢をとれるよう治療部位に応じて専用の固定具を作成します。痛みや苦痛が少ないよう、患者さんと相談しながら作成させていただきます。

頭部治療用

治療中に使用する枕。素材は粘弾性ポリウレタンを使用し、やわかく弾力性があるものを当院では使用しています。高さ、大きさなど数種類の中で一番、頭の形に沿うものを選択していただきます。

熱可塑性プラスチックフレーム

頭頸部専用マスク
患者さん一人ひとりの顔の形にあったマスクを作成します。

吸引式固定

体幹部用固定具
長時間維持できる体勢で体全体の固定具を作成します。

頭部CT検査の様子


体幹部CT検査の様子

作成した固定具を装着しCT・MRI検査をおこないます。治療計画に用いる画像を撮影します。通常の撮影とは異なり、病変を見逃さないよう薄い断層幅での撮影、また、造影剤を使用して検査をおこないます。 これらの撮影した画像を用いて治療計画を立てていきます。投与線量や腫瘍位置の同定、正常組織との関係性を把握する上で非常に重要な検査となります。

CT画像とMR画像では得られる情報が違います。双方の画像を治療計画装置上で重ね合わせ治療計画を作成します。

治療計画

CT・MRI画像にて腫瘍位置を同定し、放射線治療計画専用のコンピュータを用いておこないます。
腫瘍に対して最適な線量が照射されるよう、放射線を入れる方向や放射線の量を計算によって求めます。腫瘍に対する処方線量は医師が決定します。
処方線量は、腫瘍の組織型によって異なります。また、大きさや場所によって複数回に分けて治療をおこなうこともあります。

血管外皮腫例

サイバーナイフは複雑な形の腫瘍に対しても放射線を様々な方向から照射することができるため、腫瘍辺縁に沿った形の線量分布を描かせることができます。また、放射線を当てたくない正常な部位を避けることも可能です。

多発性転移性脳腫瘍例

サイバーナイフでは複数個の腫瘍が存在していても非常に小さい照射野を使用することにより、周囲に広がらず正常な部位の放射線障害を減らすことができます。

転移性脊椎腫瘍再発例

サイバーナイフでは、一度放射線治療をおこない再発した症例でも脊髄や血管などの重要臓器の線量を少なく抑えることができるため再照射が可能です。

放射線治療品質管理

患者さんに安全で安心な治療を受けていただくため、毎日、放射線の出力線量や照射精度の管理をおこなっています。また、患者さん一人ひとりの治療計画が正しく照射されていることを確認し、実際の治療をおこないます。

照射精度検証

治療計画と照射したFilmの比較

当院のサイバーナイフでは1.0mm以内の照射位置精度を担保しています。

治療

サイバーナイフ治療では治療前、X線写真を撮影して位置合わせをおこない治療を開始します。
治療中は決められた順路でロボットが移動し、数十から数百方向から放射線を照射します。治療中X線写真を定期的に撮影し、位置がずれていないか確認しています。数ミリの位置ずれであればロボットが補正をおこないますが、大きくずれた場合は安全機能が働き、治療が停止する仕組みとなっています。治療時間は各々の治療計画によって異なりますが、1ヶ所で約20分程度となります。治療部位によっては位置合わせに時間がかかる場合がございます。

ターゲット位置決めシステム

左右2対のX線発生装置とX線画像検出器から構成される位置認識システムでる。3次元的位置誤差を把握し、ロボット本体にフィードバックさせ補正をおこなうことにより高精度放射線治療が可能となる。

腫瘍の位置を把握し細いビームで狙い撃つ

治療環境

治療室内は落ち着いた雰囲気を基調にし、治療中は患者さんの好みに合わせた音楽を流せるようになっています。お好きなCDを持ってきていただき流すことも可能です。

治療中はスタッフがモニターで中の様子を確認しています。

ナースコールを鳴らしていただくと、ロボットを停止させ、スタッフが直ちに向かいます。

治療室通路には写真の展示や大型スクリーンに四季折々の風景をスライドショーでご覧いただき、患者さんに緊張を和らげていただけるような空間づくりをおこなっています。

治療対象病変と体幹部定位照射の適応

頭蓋内病変

良性腫瘍
髄膜腫、聴神経鞘腫、髄膜腫、頭蓋咽頭腫、下垂体腺腫、上衣腫

血管障害
脳動静脈奇形

悪性腫瘍
転移性脳腫瘍、悪性神経膠腫、悪性リンパ腫

頭蓋内

三叉神経痛
※2022年10月1日~保険適応となりました。

頭蓋外病変・頭頸部病変

頭蓋骨腫瘍、頭蓋底腫瘍、耳鼻科・口腔外科・眼科領域の腫瘍、頸部リンパ節腫瘍、頚椎・頚髄腫瘍

脊椎・脊髄病変

転移性脊椎・脊髄腫瘍、脊椎周囲のリンパ節腫瘍、脊髄動静脈奇形

体幹部病変

原発性肺癌、転移性肺癌(3ヶ所以内)、原発性肝癌、転移性肝癌(3ヶ所以内)、原発性腎癌、前立腺癌(転移巣のない限局性)、すい臓癌
※放射線治療歴のある病変やその周囲においても適応が認められる場合があります。詳しくは担当医師までご相談ください。

肺癌定位照射の適応

・3箇所以内、4cm以下
・転移病巣のない、原発性非小細胞肺癌
・他病巣のない転移性肺腫瘍、術後再発、組織未確定肺腫瘍(要相談)
・病理未の場合、生検を勧めるが、画像上明らかに癌で、希望強ければ生検未でも適応

肝癌定位照射の適応

・4cm以下
・転移病巣のない、単発の原発性肝細胞癌
・他病巣のない、2ヶ所以内の転移性肝腫瘍

※病名だけでは治療の適否決定はできません。
病変の部位、大きさ、個数によって適応が異なります。
病歴や画像を元に個々の患者様毎に医師が判断いたします。

治療実績

当院について

086-276-3231
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8:30〜12:00
午後
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休診日
木・土午後 / 日・祝
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