2021年7月16日更新
整形外科 江草 真
肩の痛み、コリはよくある症状です。五十肩だからと放っておいてもよいでしょうか?実は治らない五十肩もあります。また五十肩も治し方を間違えると、治るのが非常に遅くなります。肩の痛みの多くは治療をすることで改善が可能です。おかしいと感じたら早めの受診をお勧めします。
正常な肩の図です。
肩の痛みの代表です。肩の違和感から始まり、夜間の痛みが出現するようになり、腕の動きが悪くなります。それを過ぎると腕がまた動くようになっていきます。必ず治るものですが、治し方を間違えると痛みが引くまでに2~7年かかる人もいます。
痛みが落ち着くまで、安静にするのが一番です。痛みがあるのに無理に動かすと余計に悪くなります。痛みがひどく寝られない場合は、我慢せず肩の注射や薬で痛みを改善させると早く治ります。血糖値が高い人、糖尿病の人は治りにくいです。糖尿病をしっかり治療することにより、痛みが改善します。
肩の腱が切れた状態で、肩はよく動くのに特定の角度で痛みが出ます。ある程度リハビリで改善させることはできますが、痛みが続く場合が多いです。切れた腱板は自然には治らないので、痛みが続く場合は手術することで改善します。近年、関節鏡で手術することが主流になりました。
全身麻酔で手術をおこないます。手術時間は2~3時間で、小さな切開で関節鏡を見ながら修復します。
肩腱板断裂を放っておくと、肩の軟骨が摩耗して痛みが出ている状態に移行します。それを肩腱板断裂性関節症といいます。
2014年から日本国内に導入されたリバース型人工肩関節により、肩が痛くて上がらない人も手術をすることで痛み、動きを改善することができるようになりました。
肩の前方に10㎝切開し、人工関節を挿入します。手術時間は1~2時間で、術後は装具を着用します。当院では、術後調子よければ最短7日で退院が可能です。
退院後は定期的なリハビリ通院が必要で、かかりつけの先生の所でも可能です。
モヤモヤ血管とは、痛みの原因部位にできる「異常な血管」のことです。最近になって、人間の体には生命を維持するのに欠かせない「正常な血管」だけでなく、病気の原因となる「異常な血管」もあることがわかってきました。
特に肩こりや五十肩、腰痛、ひざの痛み、ワクチン接種後の肩の痛みをはじめとした、治りにくい関節の痛みには、そのような異常な血管(いびつな構造でモヤモヤとして見えるため、モヤモヤ血管と呼んでいます)が存在することが様々な研究で確かめられています。
当院では、モヤモヤ血管の肩の治療をおこなっています。
肩の動かしにくさや、肩関節痛はストレッチをすることで改善、予防に繋がる場合があります。 ストレッチ方法を理学療法士が紹介しています。