2021年1月8日更新
脳血管障害は、虚血性(脳梗塞など)と出血性(クモ膜下出血、脳出血など)に分けられます。
脳血管障害は現在、日本人の死因の第4位、介護が必要になった主な原因の第2位ですが、それを少しでも良くしようと世界中で努力が続けられています。そのひとつが血管内治療です。
血管内治療は、脳血管にカテーテルを入れて血管の中から治療をしようというものです。当院でおこなっている血管内治療を紹介します。
※出典:『令和2年(2020)人口動態統計月報年計』(厚生労働省)、『令和3年版高齢社会白書』(内閣府)より
頭頚部の太い動脈(直径が約2mm以上)が急に閉塞し、脳梗塞になることがあります。
原因としては、心臓の中にできた血栓(血の塊)が飛んでくる、動脈の壁に沈着したプラーク(脂質などの塊)の覆いが破れてプラークが血液中に顔を出し、その周囲に急速に大きな血栓を作るなどがあげられます。
発症から8時間以内で、脳にまだ強い変化が起こっていなければ、血栓の回収治療をおこないます。
糖尿病や脂質異常症があると、頚動脈にプラークが沈着することがあります。
狭窄(きょうさく)が強い場合には、ステントを留置して頚動脈を拡張する治療をおこなっています。
局所麻酔でおこない、手術時間は血管の蛇行の状態などにもよりますが、およそ1~2時間です。
クモ膜下出血の原因の大部分は、脳動脈瘤の破裂です。脳動脈瘤は、脳の動脈にできる風船のような膨らみです。
クモ膜下出血になると、1/3の人は元の生活に戻れますが、1/3の人はそれが元で亡くなり、残り1/3の人は介助が必要になります。70歳くらいまでの方で、約6mm以上の大きさの脳動脈瘤が見つかると、破裂する前に手術することが勧められています。
手術には、開頭による脳動脈瘤のネッククリッピングに加えて、20年程前から血管内治療もおこなわれるようになっています。脳動脈瘤の位置や形状、患者さんの状態などに合わせて適切な方法を選択しています。
脳動脈瘤にマイクロカテーテルを入れ、そこからコイルといわれる柔らかい糸のような白金製の形状記憶合金を詰めることで破裂を予防します。
当院では全身麻酔でおこない、手術前より血液を固まりにくくする薬を内服していただく必要があります。
脳梗塞もクモ膜下出血も、発症を予防することが大切です。
当院では、本館北棟4階の健康センターで脳ドックをおこなっています。
3テスラMR装置による脳と脳血管の画像診断、脳卒中に関係する複合検査をおこない、専門医が総合的に判断し、早期の病気発見・治療に貢献します。