2020年7月21日更新
整形外科 土井 英之
脊椎圧迫骨折(せきついあっぱくこっせつ)は、いわゆる背骨が骨折している状態です。骨が圧迫されたような形になることが多いため、一般的に「圧迫骨折」と呼ばれています。転倒や尻もちをつく、といった軽い衝撃でおこります。しかし、骨粗しょう症(骨が弱くなる病気)が進行している方は、日常生活の動作でも骨折してしまうことがあり、本人も気がつかないことがあります。
いままで腰痛が無かったが、急に腰が痛くなった
腰痛が長引く
寝返りや、起き上がる時に腰に痛みがある
最近、身長が縮んだ
背中が曲がってきた
70歳以上の女性である
腰痛持ちでMRIを撮像したことがない
当てはまる項目が多い方ほど、骨折している可能性があります。
圧迫骨折の治療の第一歩は、診断を早くつけることで、大切なのはレントゲン検査ではなく、MRI検査をすることです。レントゲンでは、骨の形態が変化するまで骨折の判明が難しいため、異常なしと診断される場合があります。MRIではそのような骨折でも判明でき、圧迫骨折の検査に適しています。当院では、MRI検査が必要になった方は、受診当日に撮像することもできます。
当院の治療では、基本的にコルセットや鎮痛剤などを用いて安静にし、折れた骨が固まるのを待つ保存療法をおこなっています。しかし、脊椎圧迫骨折は痛みが強いことも多く、日常生活に大きく影響を及ぼします。その場合、小さな侵襲でおこなえる経皮的椎体形成術(BKP)や、麻痺が生じるリスクのある骨折の場合は、後方固定術といった手術もおこなっています。
背骨に変形が残ると別の背骨に負担がかかり、骨折しやすくなります。また、お腹の空間が狭くなり、心臓・肺・胃腸などが圧迫され、胸焼けや胃もたれなどさまざまな症状が引き起こります。
BKP(Baloon Kyphoplasty)は、骨折によって不安定になった椎体を全身麻酔下での手術により、骨折前の形に近づけることで安定させ、痛みをやわらげる治療法です。
保存療法を選択することが多い疾患ですが、家庭・職場環境など患者さんの状況に応じた治療をおこなっていきます。入院しても、手術をしない治療を選択することもあります。痛みが改善しない場合には、BKPや固定術を選択することも可能です。当院では状況に応じて色々な治療法で対応します。
早期発見できればコルセットで固定。折れた骨が固まるのを待ちます。
骨折部の上下を金属インプラントで固定。麻痺が生じるリスクのある方におこないます。
骨折部分に針を刺し、セメントを注入します。