2023年6月19日更新
内視鏡は先端にカメラを内蔵した10mm程度の太さの管を口、鼻、あるいは肛門から挿入し、直接体内の映像を見ながら、検査や治療がおこなえる医療機器です。
年々機器や技術が進歩しており、検査・診断から治療までをスムーズにおこなうことができます。
内視鏡検査は、大きく分けて上部内視鏡検査と下部内視鏡検査の2種類があり、今回はそれぞれの概要について紹介します。
一般的にいう「胃カメラ」のことです。上部消化管(食道・胃・十二指腸)を観察する検査で、内視鏡を口または鼻から挿入します。
胸焼け、貧血、腹痛、食欲低下などの原因の診断や病気を発見します。
一般的にいう「大腸カメラ」のことです。大腸(結腸と直腸)と小腸の一部を観察する検査で、内視鏡を肛門から挿入します。
血便の原因の診断、ポリープやがんの発見・診断・治療をします。
前日 | 検査前日の夕食後から絶食です。水分摂取は可能です。 ※その他内服などは、主治医と相談してください。 |
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当日準備 | 消泡剤で胃内を綺麗にした後、咽頭麻酔の薬を内服します。 ※経鼻内視鏡の場合は、鼻腔麻酔が必要です。 |
検査 | 検査は5~10分です。 検査後は、麻酔の効果が無くなってから飲食が可能です。 ※処置が必要な場合は、検査時間が多少長くなります。 |
前日 | 大腸の中を空にするために、夕食は消化の良いものにして下剤を内服します。 |
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当日準備 | 排便状態が好ましくない場合は、下剤の追加や浣腸などが必要になることもあります。 |
検査 | 検査は15~60分です。 検査中に体の向きを変えたり、お腹を圧迫する場合があります。また空気を入れながら観察する為、お腹が張ってきます。 ※検査時間は、処置内容や患者さんにより前後する場合があります。 |
他にも小腸内視鏡や超音波内視鏡、胆膵(たんすい)内視鏡など、内視鏡検査の種類があります。
まれに消化管出血や穿孔が生じる場合があります。その際は緊急の処置や手術が必要になることもあります。
偶発症の発生率は、0.171%※といわれています。
内視鏡によるものの他、下剤による消化管出血や穿孔が生じる場合もあります。その際は緊急の処置や手術が必要になることもあります。
偶発症の発生率は、0.13%※といわれています。
参考:日本消化器内視鏡学会誌 2017年59巻7号 p.1532-1536
当院での上部内視鏡検査(胃カメラ)は基本、細径内視鏡を使用しています。通常内視鏡と比べて画質などは変わらず、苦痛が少ないです。
※検査内容や処置内容によっては、通常内視鏡になる場合もあります。
現在の我が国ではがんの推移は日々変わっていますが、がん死亡数は、大腸がんが2位、胃がんは3位となっています。
がん治療は日々進歩していますが、早期発見、早期治療が好ましく、胃がん、大腸がんは早期発見により、内視鏡で治療することができます。
40歳以上で、定期的に胃がん検診で内視鏡検査を受けているの人は21.4%※といわれており、新型コロナウイルスの蔓延により、内視鏡検査を定期的に受ける方がさらに減少することで早期発見、早期診断が遅れることも懸念されています。
現代の日本人は、2人に1人はがんになる※といわれています。症状がなくても、40歳からは年に1度の定期検査をおすすめします。
ポリープ切除やがん病変に関しての治療も当院で可能ですが、病変部位やサイズによっては大規模病院への受診をすすめることもあります。
また、検査予定の方は、現在服用されている薬を中止する必要があるため、担当医から必ず指示を受けてください。
参考:国立がん研究センターがん情報サービス「がん統計」(全国がん登録)