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2025年7月29日更新
循環器内科 吉岡 亮
記事・写真の引用:医療法人社団 祐優会 Okuno Clinic.ホームページ
ヘバーデン結節(第一関節の痛み)やブシャール結節(第二関節の痛み)、母指CM関節症(親指の付け根の痛み)など手や指が痛くて困っているのに、病院で治療法がないといわれたことがありませんか?
最近になってひどい痛みのでる指の関節まわりには、「異常な血管(モヤモヤ血管)が増えることで、痛みの原因になっている」ことが分かってきました。
洗い物をするときに指が痛い
痛みでビンの蓋を開けることができない
指が腫れている、ぶつかると痛い
病院に行っても治療法がないといわれた
靴下をはくとき、髪の毛を洗うなどの動作がつらい
モヤモヤ血管とは、痛みの原因部位にできてしまう「異常な血管」のことです。
人間の体には生命を維持するのに欠かせない「正常な血管」だけでなく、病気の原因となる「異常な血管」もあることが、最近になってわかってきました。治りにくい痛みには、異常な血管が存在することが様々な研究で明らかになっています。
※引用:医療法人社団 祐優会 Okuno Clinic.ホームページ
詳しくは、医療法人社団 祐優会 Okuno Clinic.の学術・論文ページもご覧ください。
私たちの身体は、「血管と神経が一緒に伸びる」という特徴があります。
血管が増えている部分には神経も一緒に増えて、この余分な神経が脳に痛みの信号を送ってしまいます。
一度できてしまったモヤモヤ血管と神経は、簡単には無くなりません。特に40歳を過ぎるとモヤモヤ血管ができやすくなります。
また、若い方でもスポーツや仕事で、同じ箇所に繰り返し負担がかかるとできやすくなります。
「ヒアルロン酸注射」や「ブロック注射」とは異なり、痛みの原因であるモヤモヤ血管に、直接、異常な血管を減らす薬を注射する治療法です。
この治療は、オクノクリニックの奥野先生によって2014年に開発されました。当院はオクノクリニックとライセンス契約を結び、動注療法をおこなっています。
治療に用いる薬剤は、「イミペネム・シラスタチン」という薬で、20年以上前から「抗生物質(細菌を退治する薬)」として承認・使用されています。
この薬は溶けにくい性質があるため、少量の液体と混ぜると小さな粒子になります。この粒子がモヤモヤ血管に詰まることで、痛みの原因をなくすことができます。
粒子は徐々に溶けていきますが、モヤモヤ血管は新しくできたもろい血管のため、一時的に詰まるだけで再び開通せず、消失します。
一方、正常な血管は血流が再開するため、薬が流れても体の組織に影響を与える可能性は低いと考えられています。
治療後すぐに痛みが減る方もいれば、数ヶ月かけてゆっくりと痛みが無くなっていく方もいます。
安全性が高い治療法ですが、いくつか注意すべき合併症があります。
ほとんどの合併症は一時的なもので、半日から数日以内に消失しますが、色素沈着などは数週間続くことがあります。いずれも発生頻度は低いと考えられています。
詳しくは、診察時に医師にお伺いください。
診察 |
1.整形外科医師による診察 整形外科の診察で、症状や適応を確認します。 痛くなった経緯、痛む場所、症状の出方や性質などを確認し、視診、触診のほか、画像検査などで血管の状態を確認します。 2.治療の提案 モヤモヤ血管が疑われ、動注療法の適応があれば、治療について詳しくご説明します。 ※受診当日に、動注療法をおこなうことはありません。 ※全ての患者さんが、動注療法の適応になるわけではありません。 |
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動注療法当日 |
1.予約した治療日(原則月曜日)に来院 処置室のベッドに横になり、超音波で動脈の状態を確認します。 2.治療内容 手首または足首の動脈に細い針を刺し、モヤモヤ血管を減らす薬を直接注入します。 3.治療終了 薬の注入後、針を刺した部分を3分ほど圧迫して止血します。治療時間は約10分で、治療後当日から家事もおこなえます。 ※治療時間は、症状、痛みの範囲など個人差により異なります。 |
治療費は自費診療となります。
国内ではまだ保険診療と認められていないため、全額自己負担となります。詳細は医師にご確認ください。
入院の必要はありません。
へバーデン結節の変形は治りますか?
変形の進行を抑制したり、腫脹を軽減させたりする効果が確認されています。しかし、既に変形してしまった指を元のように戻すことはできません。
治療で、指の変形の進行を防ぐことはできますか?
指の変形は、慢性的な炎症によって骨が変形していくことが主な原因です。
治療によって炎症の原因となる「モヤモヤ血管」が減り、炎症が治まれば、変形の進行を防げると考えられています。
治療してよくなっても、再発しますか?
ほかの対症療法と異なり、「モヤモヤ血管」を減らして炎症が落ち着くと、その状態をしばらく維持することができます。
再発するかは個人差があり、モヤモヤ血管ができやすい体質や体全体の炎症の起こりやすさ、骨の変形の程度、痛みが続いていた期間など、さまざまな要因が関係していると考えられます。
治療は痛いですか?
治療薬を注入するとき、一時的に手が熱くなる現象を経験される方が多いです。一時的なもので、数分以内にはおさまります。
現金以外にクレジットカード(一括払いのみ)、キャッシュカード(デビット機能付)でお支払いができます。
※一部のカードでご利用できない場合があります。