痛み

ヘバーデン結節などの治療について

2025年6月3日更新

循環器内科 吉岡 亮

記事・写真の引用:医療法人社団 祐優会 Okuno Clinic.ホームページ

ヘバーデン結節のイメージ

 ヘバーデン結節(第一関節の痛み)やブシャール結節(第二関節の痛み)、母指CM関節症(親指の付け根の痛み)など手や指が痛くて困っているのに、病院で治療法がないといわれたことがありませんか?
最近になってひどい痛みのでる指の関節まわりには、「異常な血管(モヤモヤ血管)が増えることで、痛みの原因になっている」ことが分かってきました。

手や指の疾患 簡単チェック

 洗い物をするときに指が痛い
 痛みでビンの蓋を開けることができない
 指が腫れている、ぶつかると痛い
 病院に行っても治療法がないといわれた
 靴下をはくとき、髪の毛を洗うなどの動作がつらい

痛みの原因「モヤモヤ血管」とは?

 モヤモヤ血管とは、痛みの原因部位にできてしまう「異常な血管」のことです。
人間の体には生命を維持するのに欠かせない「正常な血管」だけでなく、病気の原因となる「異常な血管」もあることが、最近になってわかってきました。治りにくい痛みには、異常な血管が存在することが様々な研究で確かめられています。
※引用:医療法人社団 祐優会 Okuno Clinic.ホームページ
詳しくは、医療法人社団 祐優会 Okuno Clinic.の学術・論文ページもご覧ください。

なぜ痛みが発生するのか?

 人間の身体は「血管と神経が一緒になって伸びる」という基本ルールがあります。血管が増えているところには神経も一緒になって増え、この余計に増えた神経から脳に痛みの信号が送られてしまいます。
モヤモヤ血管と神経は一度できてしまうと簡単には減りません。特に40歳を過ぎたころからモヤモヤ血管ができやすいことがわかっています。また、若い方でもスポーツや仕事で繰り返し負担のかかる部位にはできやすくなります。

動注療法(動脈注射治療)

治療のイメージ

「ヒアルロン酸注射」や「ブロック注射」とは異なり、痛みの原因となるモヤモヤ血管ができている部位に、異常な血管を減らす薬剤を直接注射する治療です。
この治療はオクノクリニックの奥野先生によって2014年に開発されたものです。当院は、オクノクリニックとライセンス契約を結び動注治療をおこなっております。

使用する薬剤について

治療のイメージ

「イミペネム・シラスタチン」という薬剤で、20年以上前から「抗生物質(細菌を退治する薬)」として認可・使用されているものです。

この薬は溶けにくいため、少量の液体と混ぜると小さな「粒子」になります。この粒子が「モヤモヤ血管」を詰まらせることで、痛みの原因を消失させることができます。
粒子は次第に溶けていきますが、「モヤモヤ血管」は通常の血管とは違い新しくできた脆い血管のため、一時的に詰めるだけで再開通せず壊死します。

一方、通常の血管は血流が再開通するため、薬が流れても体の組織に影響を与える可能性は非常に低いといえます。現在までに全国で5,000人以上の方がこの治療を受けていますが、今のところ重大な副作用報告はありません。

  • 「イミペネム・シラスタチン」は20年以上前から抗生物質として認可・使用されていますが、モヤモヤ血管の治療に対しては認可されていないため、「未承認医薬品」になります。
  • モヤモヤ血管に対して、「イミペネム・シラスタチン」と同一の成分や性能を有する国内承認医薬品は、ありません。
  • アメリカのFDAで先進医療として承認されています。
    承認日:2021年10月13日 使用者数:250人 副作用報告:重大な副作用報告はありません。

治療の効果

治療後すぐに痛みが減る方もいれば、数ヶ月かけてゆっくりと痛みが無くなっていく方もいます。

動注療法によるリスク・副作用

安全性の高い治療ですが、いくつか気をつける合併症があります。ほとんどは一過性で半日から数日以内に消失します。
色素沈着など数週間継続することもありますが、ほとんどは自然と消失します。また、いずれも頻度は低いと考えられています。

詳しくは、診察時に医師にお伺いください。

治療までの流れ

お問合せ 自由診療です。
診察ご希望の方は、まずはお電話ください。(「動注療法(どうちゅうりょうほう)希望」とお伝えください。)
※すでに他病院で診療を受けているのであれば、その旨を電話でお伝えください。
診察 1.整形外科医師による診察
整形外科の診察で、症状や適応を確認します。
痛くなった経緯や痛みの部位、症状のでかたや性質などを確認し、視診、触診の他、画像検査等で血管の状態を確認します。

2.治療の提案
モヤモヤ血管が疑われる際は、注射や動注療法に移行するなど医師が症状に合わせた提案します。

※受診当日に、動注療法をすることはありません。。
※全ての患者さんが、動注療法の適応になるわけではありません。
動注療法当日 1.予約した治療日(原則月曜日)に来院
処置室のベッドに横になり、超音波で動脈の状態を確認します。

2.治療内容
細い針を使って、手首の動脈に直接モヤモヤ血管を消失させる薬を注入します。

3.治療終了
薬を注入し終えた後、針を刺した部分を3分ほど圧迫して止血します。治療は10分ほどで終了し、治療後当日から家事もできます

※治療時間は、症状、痛みの範囲など個人差により異なります。

治療費用

治療費は自費診療となります。
国内ではまだ保険診療と認められていないため、全額自己負担となります。詳細は医師にご確認ください。
治療回数は1回です。入院の必要はありません。

片側 25,000円(税込価格: 27,500円)
両側 35,000円(税込価格: 38,500円)
診察費用 初診察費用:7,000円(税込価格: 7,700円)
再診察費用:5,000円(税込価格: 5,500円)
※目安:治療後1~4回

治療費用の例

※経過によっては、2回ほど治療を受けていただくこともあります。
その場合、片側1回10,000円の治療費が発生します。

よくあるご質問

治療で、指の変形の進行を防ぐことはできますか?
指の変形は、慢性的な炎症によって骨が変形していくことが主な原因です。治療によって炎症の原因となる「モヤモヤ血管」が減り、炎症が治まれば、変形の進行を防げると考えられています。

治療してよくなっても、再発しますか?
ほかの対症療法と異なり、「モヤモヤ血管」を減らして炎症が落ち着くと、その状態をしばらく維持することができます。
ただし再発するかどうかは、モヤモヤ血管ができやすい体質や体全体の炎症の起こりやすさ、骨の変形の程度や痛みが続いていた期間など、さまざまな要因が関係していると考えられます。

治療は痛いですか?
治療薬を注入するとき、一時的に手が熱くなる現象を経験される方が多いです。一時的なもので、数分以内にはおさまります。

支払い方法

現金以外にクレジットカード(一括払いのみ)、キャッシュカード(デビット機能付)でお支払いができます。
※一部のカードでご利用できない場合があります。

治療をご希望の方へ

自由診療です。
診察ご希望の方は、まずはお電話ください。(「動注療法希望」とお伝えください。)
※すでに他病院でヘバーデン結節の診療を受けているのであれば、その旨を電話でお伝えください。

参考病院

 

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