神経

てんかんについて

2020年8月17日更新

脳神経内科 濵口 敏和

てんかんとは?

多くの人は「意識を失ったまま、両手足をガクガクとけいれんさせる発作」を想像しますが、高齢者では、ぼんやりするだけの意識障害を伴う症状が多くみられ、本人や周りが気が付かないこともあります。

小児がなる病気と思いがちですが、実は中高年でも頻繁に起こりえる病気です。中高年は、脳卒中や脳梗塞、脳腫瘍もその要因とされ、また交通事故などによる外傷によって脳が部分的に傷つき、一部が上手く働かなくなることで、発作が起こるケースもあります。

脳は多くの神経細胞からできており、神経細胞は常に電気的に活動をしています。この神経細胞が過剰に興奮し、過度に同期する(一定以上の数の神経細胞が一斉に過剰な電気活動を起こす)ときに、一過性の症状“発作”が起こります。この発作を繰り返す病気を、てんかんと呼びます。

てんかんの症状

脳の領域によって症状が違います

脳の領域によって症状のイラスト

全般発作

発症場所…両側の大脳で広範
意識………失ったまま
症状………両手足をガクガクとけいれんさせる発作

焦点発作

発症場所…特定の領域
意識………ある場合とない場合がある
症状………過剰興奮する神経細胞の領域により、異なる

発作時に周りはどうしたらいいの?

全身けいれんの場合

横になっているイラスト

椅子に座っていたら体を支えて床におろします。気道確保のため横向きに寝かせる、または顔を横に向けてください。

長時間けいれんする場合、医療機関で点滴を

多くの発作は3分以内でおさまりますが、より長時間続く「てんかん重積状態」が起こる可能性があります。5分以上発作が持続すると自然に治まらない場合が多く、医療機関での点滴治療が必要となります。

5分以上の全身けいれんは、救急車を!

全身けいれん5分以上の場合、119通報をしましょう。イラスト

発作の様子を撮影しましょう

携帯で動画を撮影しているイラスト

発作を撮影した動画があれば、より重要な診断の手掛かりとなります。周囲の人は発作の様子を撮影し、医師に見せましょう。

その他の場合

高所、水中、路上など危険な場所で起こった場合は、移動させましょう。また体をぶつけたり、落下してきそうなものなどが周囲にある場合、取り除きましょう。行動を制限せずに観察します。
発作後に朦朧とした状態で動き回ることがありますが、行動を制限すると興奮することがあるため、無理に止めないようにしましょう。

診断

当院では脳神経内科、脳神経外科でおこなっています。 問診は最も重要で、実際に発作をみた人の証言が必要です。発作の動画があれば医師に見せましょう。

検査

脳波検査のイラスト

脳の電気信号を記録する脳波検査の他に、MRIまたはCTの画像検査、血液検査などをおこないます。

治療はまず内服薬

約7割は内服薬のイラスト

まず内服薬でおこないます。約7割の方は、内服の組み合わせにより発作が抑制されます。抗てんかん薬は、脳の神経細胞で起こる過剰な電気的興奮を抑制し、発症を防ぐ働きがあります。
抑制されない方の中には、手術が有効となる場合があります。手術の適応となるかは症状により異なるため、担当医師にご相談ください。

車の運転について

診断後すぐの届出の必要はありませんが、改正道路交通法により、免許更新時の病状申告が義務化されています。違反者には罰則規定がありますので、ご注意ください。

運転免許再取得

病気を理由として免許を取り消され、3年以内に2年間発作なしの運転適性を回復した場合は、免許再取得時の技能および学科試験が免除されます。
中型免許、大型免許および第二種免許の場合は、投薬なしで5年間発作が無く、今後も再発の恐れがない場合に限り運転適性があるとされており、実現困難な基準となっています。

 

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