脚の痛みしびれ

腰部脊柱管狭窄症について

2022年12月5日更新

整形外科 土井 英之

「お尻から太もも、あるいは足先にかけてしびれや痛みが生じて困る」「長いこと歩けない」という症状の患者さんが、最近増えています。

これらは、腰部脊柱管狭窄症(ようぶせきちゅうかんきょうさくしょう)という背骨の神経圧迫による病気であることが多いです。(※足に流れる血管が原因で、同様の症状が出ることもあります。)この疾患は、痛みのために出歩くことが面倒になったり、運動ができなくなるなど日常生活に大きな影響が生じます。ロコモティブシンドロームの原因の一つとしても、よく取り上げられます。

今回は、背骨の疾患の代表である腰部脊柱管狭窄症を中心に、脚のしびれや痛みについてお伝えします。

腰部脊柱管狭窄症とは?

脊柱菅内の神経が圧迫された状態のイラスト

背骨には脊柱管という神経が通るトンネルがあります。加齢などが原因で背骨が変形したり、椎体が膨らんだりすることで脊柱管内の神経が圧迫を受け、神経の血流が低下します。それにより脚のしびれや痛みが表れます。

主な症状

坐骨(ざこつ)神経痛

お尻から太ももや足先にかけての脚のしびれや痛み。

間欠跛行(かんけつはこう)

歩いていると脚のしびれや痛みがおこり歩けなくなる。しばらく休むと治るが、また歩き続けると再び痛み出す。


ひどくなると台所に立っているだけで痛くなり、座っていないと炊事ができないという方もいます。その他下記の症状などが出ることもあります。

検査について

レントゲン

腰椎の不安定性(すべり症など)や圧迫骨折、椎間板の傷み具合など、背骨の変形を確認する検査。

MRI

神経が圧迫されている部分など多くの情報が見え、問診と合わせるとかなりの確率で痛みの原因が特定できる。必須の検査といえる。

血圧脈波検査

手足の血圧を測定することで、下肢動脈の狭窄や閉塞を簡易に見つけられる検査。


そのほか、一泊入院で脊髄造影検査をおこなうことがあります。この検査では腰椎の精密検査だけでなく、頚椎や胸椎といった腰椎以外の疾患も見つかることがよくあります。入院中に、今後の治療方針を主治医としっかり話し合えるというメリットもあります。

まずは安静や飲み薬などの保存療法

保存療法の種類

鎮痛剤を用いることにより、痛みをコントロールする治療をおこないます。神経の血流を改善させるお薬を処方することもあります。

近隣の診療所の先生方と協力・連携して疼痛管理や注射、牽引などのリハビリ治療をおこないます。その他、痛みの生じている部位を特定するためにブロック療法をおこなったり、運動の指導、装具を装着する治療を選択する場合もあります。

手術療法

保存療法で痛みがコントロールできない場合は、手術という選択肢があります。手術は大きく椎弓(ついきゅう)切除術、腰椎固定術に分けられます。

椎弓切除術

圧迫されている背骨の一部を削ることで圧迫をなくし、症状を軽減させる。

椎弓切除術のイラスト

腰椎固定術

すべり症といった腰椎の不安定性や圧迫骨折などが原因で生じている場合におこなう。椎弓切除に加えて、スクリューなどの金具で腰椎の一部を安定化させる。

腰椎固定術のイラスト

当院の治療の特長

脊椎の疾患は患者さんがとても多いですが、当院ではほぼ毎日診察の対応が可能です。


  • 3名の脊椎外科医が対応

  • 手術医療機器の充実
    ①神経のはたらきを評価するモニタリングをほとんどの症例に用いることでより安全な手術をおこなえる。

    ②固定術などにはスクリューの刺入精度・安全性が高くなるナビゲーションシステムを用いる

  • 循環器内科医との連携
    足に流れる血管が原因の間欠跛行の場合にも、下肢血管専門医によるカテーテル治療が可能。

脚のしびれや痛み、間欠跛行に対しては当院で治療が完結できることを目指しております。ご不明な点があれば、診察の際ご相談ください。

 

診療科

 

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